Juhannus

ななかまど

夏至

2006年6月25日日曜日

夏が来ました。空が真っ青に晴れ上がり、暑い(といっても22〜3度ですが)日々が続いています。オウルの夏はずーっと青空、24時間ずーっと青空です。いやぁ、本当に何時だか分かりゃしない。Pihlaya(ピヒラヤ・ななかまど)の白い花が青空と緑の葉に美しいコントラストを作っています。

ライラック 北国の春とはよく言ったもので、一気に様々な花が開きます。家のすぐ横にはライラックの花。スーパーに行くたびにその香りを楽しんでいます。その周りにも様々な花が咲き乱れ、その間をリスが忙しそうに走り回っています。

道ばたの草花 道ばたもこんな感じ。道に沿って白い花がどこまでも続いています。まさに花爛漫。

近寄ってみると 近寄ってみるとこんな感じ。真っ白に見えますが、色とりどりの花が咲いています。森のむこうには湖、まさに森と湖の国フィンランドの夏の風景です。

夕焼け 暦の上では夏至は21日。21日のオウルの日の出は2時17分、日の入りが日付が変わって0時22分となっていますから、実際には日は沈んでいるのですが、地平線の下をかすめるように出てくるものですから、殆ど夕方ムードはありません。これは22日午前0時半過ぎにとった北の空ですが、ほんのりピンク色になっているだけです。半月ほど前ですと、北の空と、同時に南の空の両側に夕焼けがでるという景色だったのですが、この時期夕方はほとんど無し。この程度が関の山です。

大学もお休み でも、フィンランド人にとっての夏至(Juhannus)とは、夏至祭のあるこの週末。24日土曜日のJuhannuspäivä(夏至の日)と本日25日Kesäsunnnuntai(夏の日曜日)あたりの一連の日付をさします。大学の正面まで足を伸ばしてみると、フィンランド国旗が翻っています。夏至はフィンランドにとってはお休み。大学は公式には金曜日から休みですが。みんなこの時期あたりから夏休みをとりますので大学にはだーれもいません。フィンランド人のお休みは、パートタイムの人で、最小連続3週間から。普通は一月ぐらいは平気でとりますから、6月半ばから7月一杯ぐらいは北欧では仕事が全く動きません。焦っても何をしても人がいないんだから無駄。

植物園 植物園にも足を伸ばして見ると、ここにも国旗。ハマナスの赤い花と、青い空にフィンランドの青十字国旗が美しく翻っています。

結婚式 ちょっときょろきょろとしてみると、どうやら中華系の人がここで結婚式をするらしく、赤色に着飾った女性が歩いています。友人のイタリア人も来週母国に帰って結婚式を挙げるという話ですから、この時期は結婚式のシーズン。まさに June Bride です。ヨーロッパの6月は一番季節のいい時期ですから、この時期に結婚するのはまさに「当たり前」。日本で梅雨の中無理をして June Bride とかしても仕方がないと思うんですが、言葉だけが輸入された感じでしょうか。

旦那 「で、新郎は?」と思ってきょろきょろしてみると、いましたいました。結婚式用に飾り付けられた車の横で、携帯電話で話し込んでいます。フィンランド化しすぎ(笑)。フィンランドの都市伝説に「結婚式の誓いの言葉の途中に新郎の携帯電話が鳴り出した。新郎は誓いの言葉を中断して電話に出た。しかも三回も。」というのがありますが、本当に、どこでも彼処でも携帯電話でしゃべっている人を見かけます。

国旗 それにしても、フィンランドではどこの地区でも誇らしげに青十字旗を掲げています。愛国心の強いフィンランド人のことですから、ちゃんとカレンダーに記された日には旗を揚げるのが当たり前のようです。

かもめ 旗を見上げていると、カモメが気持ちよさそうに高い空を飛んでいました。そのままカモメを追って湖まで足を伸ばすとカモメの大群。盛んに水に潜って魚を捕っています。それにしても気持ちよさそうだこと。鴨、カモメの水鳥だけではなくて、かささぎや夏の使者燕に至るまで、ありとあらゆる鳥たちが忙しそうに飛び交っています。夏、オウルには渡り鳥がたくさんやってきます。水鳥の餌は魚なんでしょうが、燕の餌は間違いなく虫たち。フィンランドはこの時期、花と鳥と一緒に、虫、特に蚊が大発生します。ラップランドはシベリアの続き、蚊も日本の倍ぐらいの大きさがあります。しかも大量発生。朝方や、夕方に窓の外をとっているとこんな感じ(QTムービー2.3Mbyte)。木の前を白い物が盛んに飛び交っているのが分かるでしょうか。体が大きいので、髪の毛の上からでもジーンズの上からでも刺されます。鳥たちにとっては天国でしょうが、人間にとってはたまりません。

酒 大学に行っても静かなもんですし、夕方外に出ても蚊に刺されるばかりですので、日本人の夏の夜のお楽しみ、晩酌をしながらのスポーツ観戦をするのが関の山です。晩酌をしながらといっても、フィンランド風に、Lakka(アークティッククラウドベリー)のウォッカを炭酸で割ってのみながらですが。もちろんビールもどこでも手に入るんですが、ここはあえて(笑)

フィンランド野球 もちろんスポーツといえば、野球。でもフィンランドの野球Pesäpalloは、日本の野球とはまるでルールが違います。ピッチャーはバッターの横に立ち、ボールは上に投げあげ、1ボールでも進塁可能。打ったら左(つまり日本の三塁方向)に走り、次はピッチャーマウンドを横切る。こちらの図にあるように、ジグザグに走ります。テレビでいくらじっと見ていても、さっぱりルールが分からない。調べてみると、ワールドカップまであって、わざわざドイツでやってますすが、日本からは参加はないようです。以前は札幌の人たちが参加していた気がするんですけどね。

力持ち競争 それにしても、フィンランド人はいろんなスポーツを編み出します。スポーツチャンネルを見ていると飽きません。これは、Suomen Vahvin Mies ま、いわば力持ち大会。屈強な男達が必死の形相で物を運んでいます。

運んでいるのはこれ で、運んでいるのはこれ。そう、自動車の床に穴を開けて、担いで誰が一番早く目的地にたどり着けるかを競っています。あまりの絵面に椅子から転げ落ちそうになりました。よくこんなこと思いつくよなぁという感じです。ちなみにこの競争が開かれたのは、Tuuri(トゥーリ)という人口500人前後の村。こちらにあるとおり、「世界最大の村百貨店」があります。フィンランドでは、ヘルシンキにあるストックマン百貨店に次いで二番目に大きいんだとかで、2007年には、さらに全長260mに迄拡大するんだとか。めちゃくちゃ立派なホテルも会議場もありますし、一度ここで国際会議でも開いてみましょうか。しっかし、なんのためにこんなもの作っちゃったんでしょうか。

レース こちらはトラクターレース。トラクターが後ろにトレーラーを引っ張って、でこぼこ道をトレーラーを切り離すことなくたどり着けるかどうかを競います。レース好きもここまで来ると脱帽です。先日友人と話していたら、私が来る少し前には、"Ice Cricket"なる競技を編み出して、テレビでやっていたのだとか。氷上で一試合に3日も4日もかかるクリケットをやろうなぞ、フィンランド人しかほぼ思いつかないだろうと思います。どこまで暇なんだろう、この人達。

スポーツを見てのんべんだらりもいいですが、本来夏至祭はお祭り。家族揃って、Kesämijokki(夏の別荘)に行ったり、Kokko(どんど焼き)を見たりする日です。でも私は、2001年に見に行ったので今回Kokkoはパス。今週は何かと忙しいので、せっせと仕事をしたりしています。そんなアジア人は放っておいて、別荘でフィンランド人がすることといったら、サウナと飲酒。サウナに入って、ビールを飲んで、ソーセージを食べて、湖に入ってみたり、ボートで沖にこぎ出してみたり。見るからに心臓発作を起こしそうです。夏至祭はフィンランドの死亡者が一気に増える時期でもあります。ある人は、酒をめいいっぱい飲んで湖にボートでこぎ出して水死してみたり、一晩中浴びるように飲んで騒いで過労死してみたり。冬の鬱憤を晴らすのはいいんですが、ちょっとやりすぎ。

チーズスープ もちろん、日本と同じように季節季節に食べ物があり、スーパーにもこのときだけの食べ物が並びます。20日前後にスーパーで突如として売られていたのが、このチーズのスープ。Makiajuusto(甘いチーズ)とか、そのものずばりJuhannusjuusto(夏至のチーズ)とか呼ばれます。オウル地方特有の食べ物なのだそうです。

中身 中身はこんな感じ。甘いチーズが入っていて、割とおいしく頂きました。オウルは食文化面でも少し特有で、私の大好物 Juustoleipa(ユーストレイパ)なんかも、元々南のほうでは食べないものなんだそうです。

BBQ こんな感じで、淡々と仕事をしつつ、夏至週間を過ごしてきた今日日曜日は、友人の家でBBQ。家の前のテラスに机を出して、芝生の上で肉を焼きつつ、集まってきた友人達と一緒にわいわいやりました。やっぱりこんなにいい天気ですから、アウトドアが最高です。これで蚊さえいなければ最高なんですが……。