Asiasauna

画像説明

パワーサウナ

2006年9月13日水曜日

フィンランド人にとって週の真ん中(Keskiviikko)水曜日は「飲む」日。職場のパーティーやら、お得意様とのお食事会やらはこの日に開かれます。ということで、今日はTOL(情報処理科学研究科)としての正式な「歓送会」を開いてくださることになりました。歓送会と銘打ってはいますが、どちらかというとちょっとストラテジックな打合せ。今後のTOLのあり方を定める真剣な打合せがいくつもメニューとして用意されています。かなり内容的には「重い」会議です。あくまでも「歓送会」はその中の一つのメニュー。でも、高々半年だけの「ぱちもん」教授のために「歓送会」を開いていただけるなんて、ありがたい限りです。

さて、アメリカ人は重要な仕事上の打合せは昼ご飯を食べながら「パワーランチ」で行いますが、フィンランド人は「パワーサウナ」。例え初対面の相手がそこに混じっていようとも、重要な会議はサウナで行われるのが普通です。なので大きな会社には、その会社の「権威」を示す立派なサウナが用意されていますし、オウル大学も二つもサウナを持っていたりするわけです。その内の一つが4月に使った「学長のサウナ」です。

ところが世界最北の総合大学にとってサウナ二つでは少なすぎます。今日の会議のために学内のサウナが手配できませんでした。こういうときに登場するのが、通称「ビジネスサウナ」といわれる市中の一般の会社が提供しているサウナ。日本で言うと「私営会議施設」に当たるものです。自前でサウナをもてない中小の会社なんかもあるわけですから、当然需要はあるわけで、需要があれば供給もあるわけです。

お店 今回利用したのは、オウルのマーケット広場(Kauppatori)にあるあるレストランのサウナ。オウルのマーケット広場には、海に面したところに昔の「タール小屋」などの古い木造の倉庫を利用したレストラン街があるのですが、その一角こちらの地図の1番にあたるRestaurant Kahvilamakasiini(レストラン 喫茶マカシーニ)のサウナです。

食事スペース このレストラン、一階は通常のレストランですが、二階にプロジェクタやスクリーンなども設置された会議用のスペースがあり、ここで打合せをしながらの食事が出来るようになっています。もちろん、オウル自慢の市営無料公衆無線ネットワークpanOULUもばっちり入りますから、ネットワークなどに困ることも全くありません。で、この奥の階段(ちょっと暗くて写りが悪いですが)を更にあがって三階に行くと...

サウナ こんな風に7-8人が入れる立派なサウナがあります。その前にはちょっとした休息スペース(扉写真)があって、ここでサウナの間に体をさましながら、重要なことを打ち合わせるわけですね。もちろんサウナと同時にお食事も可能。レストランのホームページにはちゃんとサウナ用のメニューも載っています。本日私達はSavuporokiusaus(薫製トナカイの誘惑)なる料理を頂きながら、サウナに入りながら、もちろん、ビールもワインも頂きながら、午後6時から10時まで4時間、みっちりいろんな事を打ち合わせました。もちろんその間に公式の歓送会もあり。その間にどんどんアルコールが消費されて、後半の方は、何の会議なんだか大分怪しくなってきましたが。

霧のオウル その後は、長いつきあいの中ではじめてみた霧の立ちこめるオウルの町(写真は会議前です、もう当然暗くなってます)の中を、近くのバーに繰り出し、午前2時までべろべろになるまで飲んでいました。食事をして、サウナに入って、正体が分からなくなるまで飲む。これがフィンランド式のビジネスの進め方です。日本式の料亭打合せよりよっぽど濃い。本当に裸のつきあいをしなきゃ行けないわけですからね。

しこたま飲んだ後はタクシーに乗っての帰宅な訳ですが、当然日本と同じようにタクシーの中で寝込んでしまう人も出てきます。かといって、-30度にもなる冬のオウルで、屋外に寝込んだ酔っぱらいを下ろしたら死んでしまいますから、どこか温かいところに入れないと行けない。勢い警察署に連れて行くしかないわけですね。ということで、一説にはフィンランドでは木曜日の朝7時20分は携帯電話の使用率が最も高いのだとか。朝7時に警察で起こされて、ひとしきり色々あってから、家やら職場に電話をかける時間というわけですね。

それにしても、午前2時までみんな飲んでたけど、木曜朝8時からの講義を抱えている人たちは休講にせずにちゃんとまっとうな講義が出来たんだろうか...。