Kokous

学長のサウナ

会議

2006年4月5日水曜日

今日は重要な会議が午後5時半からあります。昼頃から会議資料を用意して、夕方までに関係者がみんな資料を整えました。午後4時半になると慌てて近所のスーパーマーケットへ、大量のMakkara(ソーセージ)とワイン、ソフトドリンクにチップスを買い込みます。何せ重要な会議ですから。(^^;

日本では大事なことは料亭で決まりますが、フィンランドではサウナで決まります。今日は外国からの賓客(私のことです)を迎えての重要な会議です。大学の来客用サウナ、通称「学長のサウナ」を使っての会議です。このサウナ、海外からの賓客がないと使うことが許されていない設備で、情報処理科学科、通称TOLでこのサウナを使うのはEU全体の共同研究プロジェクトの会議以来二回目なんだそうです。過去も何度か私がオウル大学に来たときにここでの会議が計画されましたが、そう簡単には借りられず、今回初めての利用となりました。オウル大学には二つのサウナがありますが、学長のサウナはよほどのことがないと貸してくれません。今回は、講義のための半年滞在に加えて、私が提案に手を貸した医学・情報共同研究プロジェクトが採択されたことを受けての特別待遇です。 ちょっとぐらい私のフィンランド来訪も役に立ったようで、良かった良かったという感じです。全員幸せそうです。

学長のサウナ棟 学長のサウナはこの建物の最上階に位置しています。フィンランド人のサウナ好きは相当な物で、ホテルに限らず研究施設でも屋上サウナがそこそこあります。某研修所では、新規棟の建設が決まった際、まず屋上サウナのデザインが決まってそこへの給水、給電設備が決まった後、半年してから残りの設備の設計が始まったなんて話もあります。70年代は国立施設が特別なサウナを持つことは禁じられていたそうですが、90年代には普通になり、国立オウル大学でもこの新棟にサウナがあります。

エレベータはICタグとパスワードがないと動かない 当然セキュリティも大変厳重で、エレベータに乗った後、この装置に特別なICタグをかざして暗証番号を打ち込まないとエレベータも動きません。

学長の会議室 最上階にあがるとすてきな会議スペース。ここに入ってまずは本当に重要な会議。顔を真っ赤にして議論するようなかなり白熱して突っ込んだ議論を繰り広げました。我がポスProf. Pulliはまじめを絵に描いたような人ですので、会議はサウナの理由ではなくキチンと存在します。あまりに議論が白熱しすぎて、サウナに入る暇が無くなりそうになります。実際何人かの参加者は、サウナに入る頃には帰宅の時間となって自宅に帰ってきました。

学長の台所 さて、サウナに入るさいにはソーセージは必需品です。キッチンでソーセージをアルミホイルに巻き、サウナのストーブの上に置いて焼きます。医師のストーブには定期的に水をかけて水蒸気でサウナの中を暑くする。これがフィンランド式のサウナの入り方です。好きな人はストーブにビールをかけたりする人もいたりします。あ、サウナの中へは飲み物を持って入るのが普通です。ビールなんか典型です。

学長のロッカールーム サウナの前にはこんな感じのロッカールームもあります。相当美しく整理されているスペースです。この辺は流石学長のサウナ。

学長のタオル タオルをよく見ると「オウル大学」と刺繍されていたりしてこれまたなんとも。こういうところは大学の「顔」ですからしっかりと整えてあります。

この後はシャワーを浴びてサウナへ。暑いサウナで更に議論はヒートアップ。更にこれにアルコールが入ることで益々ヒートアップ。留まるところのない議論になってしまいました。焼けたそーせい時を口に放り込みながら、アルコールを流し込みつつ、タオル一枚でそのまま深夜0時半までの暑いトークバトルとなりました。あちこちのサウナで何度かこういう議論はしていますが、やっぱりフランクな議論が出来る相手がいるのはいいことです。やっぱり裸のつきあいが何よりも重要ですね。

イギリスやアメリカに行くと大学にFaculty Clubがあってここでやはり賓客をもてなして会議が開かれます。逆に日本に外国の賓客をお招きすると、こういうところで困るんですよね。大学の中に立派な施設があるわけでもないですから。外国に来てこういうおもてなしを受ける度に、何も出来ない自分たちの立場を考えると、なんだか肩身の狭い思いがします。こういうところで国際的に必要以上に地位を落としてしまっている気がして成りません。日本でも、温泉とは言いませんから、せめて展望風呂ぐらい作れない物でしょうか。