Eurovision Laulkilpailu

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ユーロビジョンソングコンテスト

2006年5月20日土曜日

今日は忙しい一日です。芬日友好協会の友人のお誘いを受けて、街に出てMahdollisuukisien Tori (Market of Possibilities: NGOのお祭り) に出かけてイベントを覗き、Promootiojumalanpalvelus(博士取得者行例)を見に行って友人たちを写真に納め、夜は10時からフィンランド大注目のユーロビジョンソングコンテストを見ることになりました。

ユーロビジョンソングコンテストとは、こちらの公式ページに説明がありますが、1956年を皮切りに開かれている欧州テレビ会議(EUROVISION)が主催する「国対抗」のソングコンテストです。最初は7カ国だったところから初めて今年は38カ国。38カ国中、昨年の上位10カ国と4大国(ま、この辺は視聴率の関係なんかで)、それに加えて『予選』を勝ち抜いた10カ国の合計24カ国が本日のFINALに進みます。なお、各国から出てくる代表曲は、各国毎にそれぞれの責任テレビ局(フィンランドはYLE、大抵国営放送局です)で、投票やコンテストによって選ばれているようです。開催国は昨年の優勝国で、今回はギリシャ。投票方法は各国の視聴者が特定の番号にSMSを送ることで実施され、各国毎に集計されて、1位から12位までにそれぞれ、12点から1点の得点が与えられます。もちろん自国への投票は禁止です。

このイベント、基本的にPOPSが中心でずっときており、「いまいち鈍くさい」国フィンランドはずっとビリかビリから二番目。予選会の通過もまま成りませんでした。が、今年は違います。フィンランド代表は予選会を通過し、BBCやユーロニュースでも「北欧から嵐が吹き荒れている」と表現されるぐらい、優勝候補の筆頭です。愛国心の人一番強いフィンランド人のことですから、今年は俄然大盛り上がりです。

フィンランド代表はLORDI。こちらの公式ページを見ていただければ分かりますが、聖飢魔IIのような悪魔のコスチュームをみにつけた、ハードロックバンドです。曲はその名も"Hard Rock Hallelujah"。本人達も認めるように80年代ハードロックを地でいっている感じの歌になっています。そういう意味では、聖飢魔IIとうり二つ。但しこちらの方がコスチュームのできが数段上です。それもそのはず、リーダのMr.LORDI(フィンランド語では外国語の後ろにIをつけて自国語に取り込む癖がありますので、英語ではLORDに成るんだと思いますが)は、大学の映画学科で学び特殊効果マスクなどを主に作っていた人。キチンとした裏付けがあるわけです。それにしても、Eurovisionのインタビュー記事を見ていると、本当にいいおじさんぶりを発揮しています。多分年齢的には私とそう変わらないんじゃないでしょうか。聖飢魔IIのような「守り」が全然無いところがフィンランド人らしい感じです。マスクを取ると普通の静かなフィンランド人なんじゃないかなぁという感じです。

ヨーロッパで一番「しゃべらない」おとなしい国民性からすると想像もつきませんが、フィンランドは元々ハードロック系の人気が高く、ディスコなどに行っても結構ハードな曲がかかっています。その中で揉まれてきたバンドですからヨーロッパ全域でツアーしても、そこそこの人気を博し、若者の支持は一定以上集めているようです。フィンランド予選では支持率45%と他を圧倒しています。

一方で、悪魔の出で立ちで"Hallelujah"ですから、がちがちのキリスト教信者には耐え難いようで、主催国のギリシャでは、LORDIがユーロビジョンコンテストに出ることに対する反対デモまで起きたようです。最近話題のDaVinci Codeでも世界各地で反対運動が起きているようですが、「寛容」を失った宗教はいかがなものかという感じです。ま、今回はそれだけ話題性があるということですが。

22時から始まった番組は各国ごとにそれぞれ工夫を凝らした出し物です。でも全体的な印象は「古いなぁ」といった感じでしょうか。韓国ミュージックシーンを見ているようなロシア代表、一昔前の「サーカス」を見ているようなスイス代表、エアロスミスのコピーかと思うようなマルタ代表などなんだかどれもこれも少し「古くさい」。更にカントリーミュージックのドイツ、ツイストのデンマーク、極めつきは50年代のような「真っ白な衣装のリードボーカルピアノに座って歌い、これまた白い衣装の一列に並んだコーラスが一糸乱れぬ揃ったダンスを見せる」イスラエル代表。ここまで行くと、なんだか口があんぐりという感じです。逆に個人的にいいなぁと思ったのは、アカペラのラトビアや「We are the winners of eurovisoin」を見せてくれたリトアニアのコミックバンド。今っぽかったのはイギリスのヒップホップとルーマニアぐらいでしょうか。結果を見るとこの辺の「今っぽい」のは人気薄だったりするのですが。

ノルウェー美人 あと、特筆すべきはこのノルウェーの美女 Christine Guldbrandsen とコーラスの美女達。いやぁ美しい姿と美しいコーラスに思わずほれぼれしてしまいました。色々世界を旅してみて、ノルウェー女性の美しさはずば抜けている印象があります。何よりも平均レベルが高い。オスロのようにいろんな国の人が住む都会では感じませんが、少し田舎の町に行くと正直目移りするぐらい平均レベルが高い感じです。日本で行くと秋田に行ったときのような感じでしょうか。やはり北国の女性は美しくなるものなのでしょうか。

LORDI登場 フィンランド代表LORDIは17番目の登場。青十字のシルクハットをかぶった悪魔がハードロックをシャウトしています。結構な反応で、会場は大盛り上がりに盛り上がっています。

24カ国の代表が歌い終わったフィンランド時間24時(ヨーロッパ中央時間23時)から後は投票、そして投票結果の発表。この間1時間、えらいしっかりやっている印象は受けますが、片方でちょっと間延び気味といった感じでしょうか。各国の投票を見ていると「お国柄」が非常に出ています。おもしろいなぁと思ったのは、政治的には仲が悪い隣国に対しての「1位」投票が目立つこと。フィンランドの一位はロシア、ロシアの一位はフィンランド。もちろんそれぞれの国からの移民が多いというファクターはあるでしょうが、このあたりは「政治と文化は独立」しているヨーロッパの「大人」の部分を感じます。

アジアにもABUロボコンの様なイベントはありますが、まだまだここまで「大人」なイベントにも「共通」のイベントにもなっていない印象があります。欧州からアジアを眺めると、「なんだか未成熟な地域だなぁ」という印象を強くすることしきりです。

それはさておき、投票の結果はLORDIがEurovision史上最高の得点を集めて優勝!!フィンランド国内は大盛り上がりで、それまで静かだった私の家の周りも、放送が終わるとほぼ同時にバイクで走り回る若者やら、大騒ぎしている酔っぱらいの声が響いていました。翌日のテレビニュースでも「トップニュース」扱いで、各地の大騒ぎの様子が中継されていました。

来年は優勝国であるフィンランドの主催、YLEが全ての主催費用を賄わなければいけません。フィンランド中が盛り上がる中、きっとYLEの幹部の方々は頭を抱えておいでではないかと...。


P.S. 優勝と同時に各国語で現れたWikipediaのページよると、Mr. LordiことTomiさんは1974年Rovaniemi(ロバニエミ)生まれ。ニュースではRovaniemiの人々にインタビューをしていましたが、Rovaniemi生まれの世界的名士Joulupukki氏もLordiのメンバーと一緒に写った写真をバックにインタビューに応じていました。ちなみにJoulupukki氏、英語でMr.Santaclause、日本語ではサンタのおじさんと呼ばれる、世界的名士でいらっしゃいます。(5月21日追記)