Vuokraus Automatka

今回の自動車

レンタカーの旅

2006年5月27日土曜日

妻がBudgetでweekend priceキャンペーンをやっているのをみつけたので車を借りようということになりました。フィンランドで車を借りると日本とどっこいどっこいのお金がいるのですが、キャンペーンのおかげでクラスCの車で週末金曜日午後2時から月曜日午前10時まで借りて107€(税込)とかなり安い借り物です。妻は以前から「左ハンドルのミッション車を運転する」という、日本ではやったことのない体験に興味を示していましたし、何よりも前から「替えなきゃなぁ」と思っていたロールカーテンなどの大きな買い物をしたいのもありましたので、メールで予約してレンタカーすることにしました。なんでもメール一本で予約できてしまうのがいかにもフィンランド的ですが。

予約時にはFord Fiestaと言われていたのですが、実際に借りてみるとOpel Astra。ま、どちらでもそう大きな差はありませんが、今回の相棒はこの車です。乗ってみるとシフトなどはいい感じで繋がりますが、スイッチ類がものすごく日本の車と違っていてとまどいます。ワイパーやウインカーのスイッチは、一般的な日本車ですとスイッチが入った位置で固定する(左に曲がるのならば、少しスイッチがあがった位置で止まって、ハンドルを戻してウインカーが切れると元の位置に戻る)のですが、この車の場合電気的にスイッチが入ったらすぐに元の位置に戻ってしまいます。例えばちょっとだけ左にウインカーを出して車線変更して元の車線に戻る場合、元の車線に戻ってから右に一回スイッチを半分押してウインカーを切ってやらないといけません。たいていの場合失敗して右にウインカーが出ることになり、しばらく右左とウインカーが交互に出て後続車を惑わせることになってしまいます。慣れの問題でしょうけど、これは相当とまどいます。

金曜日はこの車を借りて、早速オウルの南、 Kempele(ケンペレ)の方にある「オウル最大のショッピングセンター」Zeppelinへ。前から「大きい」とは聞いていましたが、確かに「大きい」。でも、図体ばっかりでかくて中身は...という状況です。大きければいいというもんじゃないと思うんですが。ま、とりあえずここで目的のロールカーテンやら網戸やらを仕入れます。この辺はフィンランドですから日曜大工仕様ですので、また帰ったら一仕事したわけですが。

金曜日の夜には、人気のない大学の駐車場で妻の「練習」のおつきあい。いかんせん日本で運転していると、「オートマチックの右ハンドル」が普通なわけですから、一気に問題倍増でなかなか慣れるまでは時間がかかりました。私の方は何度も運転していますが、彼女にとっては初めてですからね。フィンランドは北国ですから滅多にオートマチックにはお目にかかりません。とは言ってもヘルシンキ近郊ではオートマチックも増えてきましたけど…。オウルから北側はラップランドの森の中ですから、ミッション車を運転するに超したことはありません。オートマチックで雪の中で立ち往生したら目も当てられませんから。それにしても、駐車場で練習の間中見学していたあの人達は、よっぽどぎっこんばったんする車が楽しかったに違い有りません。夜遅くまで練習しても、もうすっかり日が沈まなくなっていますから、ずっと明るいままです。

本日土曜日はちょっと足を伸ばしてみようと言うことで、今まで行ったことのない南へ、Oulu-Kempele-Oulunsalo-Liminka-Lumijoki-Siikajoki-Raaheと海岸線沿いを走ってみることにしました。北には大ドライブを敢行(1日目2日目)していますが、南にはあんまり行ったことがありませんでしたので、ちょっとした冒険です。

朝はゆっくり家を出て、オウルの市街地を抜けて昨日買い物をしたKempele(ケンペレ)の街を通りすぎ、ちょっと道をそれてオウル空港のある街Oulunsalo(オウルンサロ)でお昼ご飯。そこで「じゃ、南に行こうか」と言うことで、国道を南に向かいます。

天気雨 それにしても天気が悪い、まだらに雨に降られます。ラップランドではよくあるのですが、殆どの雨がこんな具合に天気雨。これは、太陽がずいぶん低い角度から差し込んでいるためで、真上には雲があって雨を降らせているわけですが、遠くに雲が切れているところがあってそこから太陽が射し込んであたりを明るくしているわけです。オウルは北緯65度1分(切り捨てて北緯65度)。夏至に近いのでこの時期の太陽が夏至の太陽の位置(北緯23度26分、切り捨てて北緯23度)にあるとして、南中時の太陽の高さは90-65+23=48で48度。南中時でもずいぶん低いところから日が射し込んでいるわけです。ちなみに京都が北緯35度ですからその差30度。京都の冬の南中時の太陽の高さが概算で41度ですから、京都の冬の太陽の高さしかないわけですね。しかもフィンランドはずいぶん平らな国ですから、どこまでも低いところから太陽が入ってきます。夜になると白夜の太陽が水平線ぎりぎりに北から射し込みますので、丁度目の高さ正面から太陽が射してくるタイミングが相当あります。夏の北欧ではサングラスは必須です。

ルミヨキの教会 Liminka(リミンカ)を通ってLumijoki(ルミヨキ)へ。行ってみてびっくり、こんな立派な教会がどんとそびえ立っていました。とっても田舎ですので多分人口はたいしたことはないと思うんですが、それに似つかわしくないものすごく立派な教会です。お休みですので中には入れませんでしたが、外から見ても窓に立派なステンドグラスが入っています。フィンランドで主流のルーテル派は基本的に質素な宗派ですからステンドグラスなどの凝った装飾を教会に施すことは殆どありません。「バルト海の乙女」ヘルシンキの象徴ヘルシンキ大聖堂もバルト海から船で見たり、通りから見上げると大変美しい白い建物ですが、中にはいると意外にシンプルでびっくりするぐらいです。それを考えるとこの教会、ちょっと宗派が違うんでしょう。それにしても田舎に似つかわしくないぐらい立派です。ちなみに街の名前は雪の(Lumi)川(Joki)。美しい名前です。

シーカヨキの教会 続いてSiikajoki(シーカヨキ)、こちらはシナノユキマス(Siika)の川(Joki)。魚が捕れそうです。ちなみにSiikaではなくSikaとなると豚になってしまいますので、発音には注意が必要です。こちらの教会はご覧の通り古い木造の教会で、この近辺ではちょっとした観光スポットです。この日は結婚式をやっていたのでこれ以上近づけませんでしたが。

それにしてもこのあたりの街は歴史があります。Lumijokiは1496年、Siikajokiは1325年には文献に出てくるそうですから、1605年にスウェーデン人によって開かれたオウルと比べると格段の歴史があります。街の名前が純粋にフィンランド語なのも頷けます。Siikajoen Kirkko (jokiが所有格「〜の」になるとjoenと変化します。普通と違う変化なのでいつも間違えるのですが)が作られたのが1701年ですから、ずいぶん古い教会です。このあたり、植生を見ていても「土地が豊かなんだろうなぁ」と感じますから、農業に適しているんでしょう。今も畑がいっぱいありますし。

ラーへの教会 そして目的地 Raahe (ラーへ)へ。ここは元々製鉄産業で栄えた街。オウル大学のサテライトキャンパスがあって遠隔授業等をした関係で、ちょっとした親近感のある街です。小さな街ですので取り立ててなんと言うことはありませんが、こんな立派な石造りの教会があったりします。

パン工場 私たちが驚いたのはこれ。ドライブインかなぁと思ってコーヒーを飲みに立ち寄ったところで、ふと看板を見ると見慣れた文字が。いつも食べているパンのメーカの工場でした。そうかぁ、ここからいつものパン、Menevät Ruisvät、英語に直すと Go Rye (行けライ麦)はここで作られてたんだねぇという感じです。フィンランドのパンもいっぱいありますが、やっぱりライ麦パン、それもこの"GO GO RUIS"が一番です。もちろん私の個人的意見ではありますが…。

日本では殆ど見ませんが、ライ麦のパンは食物繊維も多くて体にもダイエットにもいいと来ています。フィンランド人に言わせると「日本にはおいしいパンは存在しない」のだそうですが、昨今のダイエットブームに乗って、ライ麦パン、流行りませんかねぇ。