7月27日 Go to Iceland !!


この週末を利用して、アイスランドに行くことにしました。 私にとって、唯一残っていた北欧十字を掲げる国への旅行です。

フィンランドからアイスランドへ行くには、アイスランド航空の乗り入れているストックホルム・オスロ・コペンハーゲンのいずれかの空港で乗り継ぎをする必要があります。このうち、ストックホルムにはオウルからエアーボタニアの直行便(スカンジナビア航空との共同運行)が飛んでおり、フィンランド航空でヘルシンキを回るよりも安くいけるのですが、出発日の空席は2席、我々は3人。涙をのんでヘルシンキを回っていくことにしました。

ヘルシンキからストックホルムのフライトを検索すると、「ん? なんか間違えてないか?」このフライトは、12:10ヘルシンキ発12:10ストックホルム着

冷静に考えればすぐわかる話なんですが、からくりは時差にあります。ヘルシンキからストックホルムまでの所要時間は1時間。フィンランド(東ヨーロッパ時間)とスウェーデン(中央ヨーロッパ時間)の時差は1時間。ということでこのフライトは時刻表上では出ると同時に着くことになるわけです。まぁ、物議を醸しているコンコルドで大西洋を越えると出発するより前につけてしまうそうですから、それと比べれば大したことはないのですが。
空から見るアイスランド それはさておき、OUL-HEL-ARNとフィンランド航空を乗り継いで、ストックホルムでアイスランド航空に乗り継ぎ大西洋を進むこと3時間10分、とうとう見えてきましたアイスランドです。空からもはっきりと世界最大の氷河に覆われた島の姿を見ることができます。
アイスランド=ケプラビーク空港(KEF)のこの日の天候は嵐。飛行機は大きく揺れながら着陸。空港はJFKの旧ターミナルに非常によく似た雰囲気の古い構造の建物です。「アイスランドはEUじゃないからパスポートコントロールは…っと」とパスポートコントロールに並ぶと…

パスポートと航空券をお願いします

「え? 航空券」

「ここは米国行きの乗り継ぎゲートですよ」

看板が非常にわかりにくいところにあったのですが、確かに"Arrivals"は違う方向を向いています。後で気が付いたのですが、アイスランドはEU加盟国ではないですが、シェンゲン条約加盟国。ヨーロッパからの入国の際はパスポートコントロールはありません。

アイスランド航空
地熱発電所 迎えの車に乗ってホテルに向かうと、見渡す限り草木の生えない荒涼とした大地が広がります。ごろごろしているのは溶岩性の岩石。島の殆どがこうした溶岩台地です。

ホテルは地熱発電所のすぐ横の測候所のような建物。気候が厳しいのでこの地域にはあまり立派な建物は建てられないようです。

この地熱発電所では、地中からわき出る温泉を利用して電気を作り、レイキャビクの町に供給するとともに、その熱を利用してレイキャビク一帯の暖房をまかなっています。さらには温泉に含まれる鉱物から、薬品等まで作り出す、アイスランドは大地の恵みを最大限利用して地球に優しい都市作りを実現しているわけです

さらにくみ上げられた温泉は、すぐそばの岩のくぼみに排出されています。これが、人工の温泉湖ブルーラグーン。水は大量の鉱物を含んでいるため、青白色をしています。湖に流された水は非常に高温ですが、その1/5だけを仕切って温水のはいる量を調整し、人が入れるようにしています。それでも広さ約50万ヘクタール。巨大な温泉プールです。

実際に入ってみると、温度がバラバラ。単純に堰を作ってあるだけですので、堰の切れ目の温水が入るところは熱く、それ以外は冷たい。今日は特に嵐ですから、外も寒い。広ーい湖の中のたった2カ所の熱い水の吹き出し口を扇状に囲むように人が集まっています。おかげで広い割には、芋の子を洗うような状態です

もう一つの問題は、割合浅い上に底がごつごつなこと。岩のくぼみに温水を流し込んだだけですから、岩の表面がそのままです。気をつけないと、飛び出している岩に足をぶつけていたい目に遭いますし、窪みに溜まった鉱物泥に足を取られてひっくり返りかねません。

ブルーラグーン
レンタカー 翌日は朝から車を借りて二日間のドライブ。今回の車はスズキ・ビタラ(エスクード)です。アイスランドの内陸部の道路は舗装されていませんので、4WDしか進入できません特に"R"のつく国道は4WD専用です。外周道路もあちらこちらでダートになっていますから、レンタカーは4WDを借りる方が無難です。
近代的に整備されたレイキャビクの町を少し散策し、コロンブスより500年前、アメリカに上陸した最初のヨーロッパ人の像を見物してから一路東へ、今回の旅の最大の目的地である、シングトベトリル国立公園を目指します。

ここには、"ギャウ"と呼ばれる、地球が生まれるところがあります。写真のように深い谷があり、この片方がアメリカプレート、もう片方がユーラシアプレートに属しています。年間2〜3cmずつ離れていき、遠い未来に日本海溝で再び出会うことになります。

ちなみに、シングトベトリルとは「議会平原」という意味。ここで世界最初の民主主義国家の議会が開かれたそうです。実際音はよく反響します。またここは、アイスランドの独立宣言が行われた地。ここに国民が集まり、独立を祝った特別な土地です。今でもアイスランドの国旗が誇らしげに風邪に踊っています。

シングトベトリル国立公園
ゲイシール さらに東へ車を進めてゲイシールへ。ここには世界最大級の間欠泉があり、ほぼ5分おきに温水を空高く吹き上げています。ちなみに、英語で間欠泉を意味する"Gayser"は、ここの地名から来ているんだとか。アイスランド語はヨーロッパでも最も古い言語であるケルト語そのままですので、各地にこういう「単語の元」な所があります。

ここはアイスランドでも指折りの観光地。沢山の観光客が集まり、間欠泉をカメラで狙っています。それにしても沢山の人たちが間欠泉を囲んで吹き出す瞬間を今か今かと待っている様はどことなく滑稽です

ここからは山の中へ。ダートの道をひたすら進んでいきます。殆ど「道なき道」の状態です。実際ちょっと横道へそれると途端に「タイヤをどこにおくか」を考えながら運転しないといけないところにやってきます。いや、ホント大変なところです。まさに、長距離ラリーです。一通り山の中を走り抜けると、車はこんな状態になってしまいます。 Rのつく国道
4WDの観光バス こんな山奥にも沢山の観光ポイントがありますから、当然バスツアーもあります。もちろん普通の観光バスではこんな所を走れるわけもありません。ということでバスも4WD、オフロード仕様です。
山岳地帯の主な観光名所は、まずこの氷河。山岳部には複数の氷河、氷河湖が存在し、前もって予約しておけばスノーモービルに乗って氷河を越えるツアーなんてのも体験することが出来ます。

面白いなと思ったのが、氷河の色。昔ニュージーランドで見た氷河は碧色、ノルウェーで見られる氷河は青白色とそれぞれ違う色をしていましたが、どちらも表面の氷の層のおかげで何ともいえない淡く深い色をしています。しかし、ここの氷河にはそういう「透明感」がありません。ここの氷河には大量の火山灰が混じっており、実際表面にも火山灰が薄く積もっていますので、どことなく澱んだような色をしています

氷河
火山性高温地帯 もう一つの観光名所は、「高温地帯」と呼ばれる火山性の土地。島自身が生まれたばかりの地表で出来ているわけですから、温泉や火山性ガスが吹き出しているところがたくさんあります。

圧巻なのはミーバートン湖の側にある高温地帯。とにかく吹き上がるガスの量と臭いが半端じゃない。鼻を突くような硫黄の臭いの中、音を立てて地面から大量のガスが吹き上がっています。まるで、別府の「地獄」を全て一カ所に集めて、それぞれガスの量を3倍にしたような感じです。(なんだかよくわからない表現になってしまいましたが(^^; )

当然高温地帯には沢山の温泉もわき出しています。で、こういったところには当然露天風呂が出来、そのまわりにキャンプ地が出来たりします。しかし、いくら温泉があるからといっても、最高気温が8度に届かないようなところでキャンプをする気にはなれませんしかも臭いし キャンプ地の露天風呂
グトルフォスの滝 さらには、。氷河から流れ出した大量の水が川となって流れ落ちます。黄金の滝と呼ばれるここグトルフォスの滝の他にも、ヨーロッパ最大の水量を誇るテディフォスの滝なんてのもあります。こんな島国にこんなものがあるのは意外です。
それにしても、テディフォスの滝の周辺の景色はすごい。滝の前後はまるで"Grand Canyon"のような景色です(上空からしか見たことがありませんが)。アイスランドの人にとっては、オーストラリアのエアーズロックも、アメリカのグランドキャニオンも、キットただ「母国を思い出させる景色」でしかなさそうです。 まるでグランドキャニオンのような渓谷
滝壺に下りるカヌーと人 テディフォスの滝では、囂々と音を立てて水が流れ落ちる場所の横から滝壺に向かってロープを垂らし、カヌーと一緒に滝壺から急流を下ろうとしている一行がいました。ここの壁面は火山性の岩石からなっていますから大変脆く、「崩れる可能性があるから崖には近づくな」とあちらこちらに大書してあるのに…。こういうところには、必ずこういう人がいますなぁ。(^^;;
こういった特別なところに行かなくても、とにかくアイスランドの自然は独特の姿をしています。特に溶岩性台地がどこまでも続き、底にこけだけがびっしり生えている姿を見ると、火星を緑化したら、きっとこんな姿になるんだろうなとぼんやりと思えてきます。車の中でしばらく居眠りをしてふと目を覚ますと、まるで地球以外の惑星に来たかのような錯覚に陥ります。 アイスランドの景色
上空からの景色 アイスランドの自然に圧倒された二日間が過ぎ、空からアイスランドを見下ろすと、雲と氷河が織りなす、美しい景色が広がっていました。アイスランドの旅は、まるで空想の世界への旅のようでした


戻る