当時との最大の違いは、お金。
当時は超貧乏旅行でしたので、ここまでは各駅停車を乗り継いでたどり着き、ユースホステルに泊まり、全て歩いて回って観光しました。今回はレンタカーで移動し、湖の遊覧船観光などを楽しんだりします。 |
サヴォンリンナは港町。その昔はここから湖をずっと伝ってサンクトペテルスブルグまで物資を輸送していたのだそうです。今でもここからイマトラまで旅客船が一日一往復していますし、貨物船もパルプ原料などを積んで海を目指します。
そんな仕事で移動する船を眺めながら、観光船に乗ってゆったりと湖上の旅を楽しみます。船上から見える島々にはぽつんぽつんと別荘が建っています。それぞれここまでボートでやってきて、夏のひとときをキャンプファイヤーとサウナで楽しんでいるようです。 オウルとの最大の違いは蚊が少ないこと。オウルではラップランドの巨大な蚊が蚊柱となって襲ってくるので、BBQの時などは蚊取り線香が必需品ですが、ここではTシャツ・短パンで町を歩いても平気です。湖をわたる風は涼しく、日差しは燦々と暖かい。こんなところの別荘でのんびりと過ごせれば最高です。価格は日本から比べるとそれほど高くはありませんが、維持管理を考えるとやっぱり難しいでしょうね。なによりまず船舶免許を取らないと、別荘にもたどり着けませんが。 |
甘いペリーサイダー(といってもアルコール飲料です)を飲みながら、日差しと涼風を楽しんでいると、目の前にオラヴィ城が再び現れてきました。オラヴィ城は湖岸の島に作られた要塞。スウェーデン統治時代の最前線基地であり、スウェーデン=ロシア戦争の激戦地でもあります。
一説にはドラゴン=クエストの魔王の城のモデルと言われるように、湖岸からは一本の橋だけでつながっており、内部は複雑に入り組んだ構造になっています。 |
その一本の橋は、船の通り道に当たりますので、可動橋になっています。
橋は先端にモータボートが着いたような構造をしており、船が通るとスクリューを回して元の所まで円弧状に戻ってきます。最後に陸側の橋をきちんと接続してできあがりです。 |
こんな具合です。 |
オラヴィ城は、独特の形をした三つの塔で有名ですが、スウェーデン統治時代には四つの塔があったそうです。先端の煉瓦色をした部分は、ロシア統治時代に付け足されたもの。弓や銃で下が狙いやすいように少し飛び出した形に作られています。
見所はいろいろありますが、圧巻なのは塔の中央部分にあるトイレ。地上20mのぼっとん便所です。穴から下を覗くと、島の縁にある岩と湖を真っ直ぐ見下ろすことが出来ます。実用的といえば実用的ですが、冬のフィンランドは寒いですから、こんなところで用を足そうとしたら、下から吹き上げる寒風でお尻が冷えて、出るものも出なくなりそうです。 |
もう一つ、サヴォンリンナで有名なのが、7月一杯オラヴィ城で行われるオペラフェスティバル。今年も開演が近いと言うことで、すでに会場の準備は整っていました。オペラの時期はホテルの値段もぐっと上がります。
この城ではガイド付きでグループごとに場内を回らなければならないのですが、同じグループにいたフィンランド人女性が地元出身(彼氏を連れてきた)で、私は昔、魔笛に呼び出される鳥の役で出たことがあるとのこと。地元の子供たちも出演して、町総出で開催されるお祭りのようです。(^^;; |
観光の後は、サヴォンリンナで最も高級なホテル、セウラフオネ(Seurahuone)の、プライベートサウナへ。最高級とは言ってもフィンランドのホテルは土日は宿泊料金が下がるので、たいした額にはなりません。プライベートサウナも1時間半の予約制です。
サウナは湖に面した展望バルコニーを持つすばらしいサウナで、部屋から持ち込んだビールを飲みながら、サウナでとことん暖まり、湖を眺めながら涼んで、時間いっぱい楽しんできました。7年前には考えられなかった贅沢です。 |
サウナの後は、サヴォンリンナ名物ムイック(Muikku: Vendace: サケ科の魚)の唐揚げに舌鼓。なぜか日本のものよりもおいしいフィンランドの焼きジャガと一緒に食べるとすっかり大満足です。この魚は、主に唐揚げ、薫製で食べますが、どちらも日本人の口にぴったりと合います。シーズン中は、フィンランドの殆どの地域のスーパーでこの唐揚げは買うことができ、生食用のタマネギと合わせて南蛮漬けなどにしてもなかなか乙です。 |
このレストランもホテル=セウラフオネの最上階にありますので、ムイックをつまみながら、夕焼けを遠くに眺望することが出来ます。 |
翌日昼、飛行機でヘルシンキへ戻ることにしました。レンタカーはサヴォンリンナ空港へ乗り捨てです。誰もいないハーツのカウンターにキーを落として苦労させられた車ともお別れ。湖水地帯を後にします。 |
フライトはゴールデンエアーの1ストップ便。離陸後25分でヴァルカウス(Valkaus)に降り、そこから55分でヘルシンキです。機上から湖水地方を見下ろすと、まるで海の上を飛んでいるんじゃないかと見まごうばかり、あらかた湖ばかりの景色でした。氷河が作っていったこの景色は空から見るとまた圧巻です。
それにしても、飛行機の操縦席の窓を開けて、パイロットが管制塔のベランダと直接会話をする姿は初めて見ました。サヴォンリンナ空港もヴァルカウス空港も、家族運営ののんびりした空港のようです。 |