The Capital of Inka

インカの首都

インカの都

2010年8月19日木曜日

今日は、インカの都、石の都、クスコをめざします。

インカコーラを機内で インカの首都に向かうのですから、当然機内のドリンクはこの黄色のドリンク。ピスコサワーと並ぶペルーの国民飲料、インカコーラです。黄色い液体の正体は、甘く味付けされた、カモミールとレモングラス(正確にはレモンバーベナ)の入ったソーダ水。昔よく神社の縁日で売っていた様な味のドリンクです。

インカコーラはペルーの国民飲料 なんでも、インカコーラは元々イギリス人が作り出した飲料だそうで、ガイドのお姉さん曰く、コカコーラが唯一打ち負かすことが出来なかった飲料水なのだそうです。日本の自動販売機を眺めると、ペットボトル入りのお茶とコーヒーばかりで、コカコーラを見つける方が困難なことを考えると「唯一」というのはちょっと大げさな気もしますが、コカコーラが未だに全く歯が立たないのは事実のようで、飛行機の中でもインカコーラを飲んでいる人を沢山見かけます。でも、このインカコーラ、今はコカコーラ資本の下に入っているんだそうですが。

クスコに到着 インカの香りの飲料を楽しみながら、征服者ピサロの作った現在の首都リマから、Lan Peru航空で約1時間15分。アンデス山脈の盆地にあるインカの都、クスコに到着します。クスコ空港に降り立つと、抜けるような青空の下、山に這い上がるように拡がる町が一望できます。

気圧計 普通、飛行機が着陸に向けてアプローチするときには、気圧が上がっていくのを感じるものですが、ここでは逆。着陸に向けて気圧調整をはじめると、徐々に体感気圧が下がっていきます。写真の高度/気圧計は、気圧だけが計測されて、周りのリングをある地点で合わせておくことで、気圧の変化から高度の変化を推定するものですので、周りにある高度計の値は当てになりませんが、気圧は正確。パッと見、大したことがないように見えますが、実は針が殆ど一周回っていて、約660ヘクトパスカルを指しています。この写真は、クスコの最高地点にある遺跡で撮ったものですので、クスコの町よりも600m位高い所の気圧ではありますが、クスコの町中での気圧も所詮700ヘクトパスカルそこそこ。少し旧型の飛行機で航行中の与圧が大体0.8気圧といいますから、それよりも低いわけです。富士山のてっぺんとほぼ同じ海抜約3600mにある町はやはり伊達じゃありません。

気圧の差 気圧の差を目で見るのに、日本で買ってきたお菓子の袋の写真を撮ってみました。ホテルのベッドの上で撮った写真ですが、右側はぱんぱんです。左側は比較のために穴を開けてみましたのでぺたんとしていますが、日本で買った状態はこの状態です。お菓子に限らず何から何までこの状態。蚊に刺されたので薬を塗ろうとチューブを明けたら、中からずーっと中身が押し出されてきて、しめるのもままなりません。

空港で酸素を売ってたり そんなわけで、空港にも普通に酸素が売られています。また、町中のホテルはどこも酸素を用意しているそうです。ちょっと油断すると簡単に高山病になれるというわけです。

巨大な岩 そんな高地に住むインカ人は、11世紀頃には南北4000Kmにも及ぶ大帝国を作り上げました。帝国の建造物の主な資材は石灰岩。こんな大きな岩だったり...

小さな石 こんな小さな石だったり(右上の黒い所にある小さな石です)を...

巨大な石 こんな風に巧みに切り出して組合せ、コンクリートのようなものを一切使わずに、カミソリの歯すら入らないほどぴったりと組み合わせて石の建造物を作り上げていたそうです。

聖なる泉 さらに、サイフォンの原理などを巧みに使ってあちらこちらにアンデスの雪解け水を引き込んで町を潤していました。クスコの町は元々ピューマの形をしていたのですが、その頭の部分がトップの写真の小高い丘にある大きな要塞か神殿の跡と言われているサクサイワマン。で、更に高い標高4200mの所にこの聖なる泉と呼ばれるタンボ・マチャイがあります。この水、多くの科学者が調べてみたものの、未だに水源が分からないんだそうです。

征服者の建物 しかし、西洋からやってきた征服者は、皇帝をだまし討ちにした上で、農繁期には戦わないインカの兵士を破って、帝国を占領しました。征服者達は石組みを壊しきれずにこんな風に石組みの上に西洋風の建物を建てて町を形作ったわけです。なので、クスコの町には、インカの石組みの上に西洋風の建物というところが多くあります。この建物は、サント=ドミンゴ教会。元は太陽の神殿(コリカンチャ)だったところに建てられています。

クスコの最後の晩餐 占領の目的はインカ(エル=ドラド)の金銀財宝と、キリスト教の布教。しかし、キリスト教は、インカの太陽神を中心とする宗教と一体化して、気がついたらちょっと違う宗教ができあがったようです。クスコを中心とする宗教画家、クスコニアンたちは、それを巧みに宗教画で表現し、宗教の融合に大きな役割を果たしました。この絵葉書は、クスコのカテドラルにある宗教画。真ん中に移っているのは、アンデス名物クイ(天竺ネズミ)の丸焼き。その他の飲み物や食べ物も全てアンデスの食材。そして、キリストの隣にいるペテロは南米国の布教の中心となった白人の宣教師(名前は失念)、そして手前に移っている「ユダ」はインカ人を表す褐色の肌。なんとも皮肉たっぷりの絵です。でも、この絵を見た米国人は「なぜ悪者ユダが褐色に描かれて、キリストは褐色じゃないのか?」と質問。さすが米国人だと感心することしきりです。その鈍感さが無いと、今世界の中心にある米国は出来なかったろうと思うことしきりです。

このクイ、コレステロールがが非常に低い良い肉として、地元では今も広く食べられています。私の方は、高山病を恐れて油ものをへらそうというのと、値段が他の肉の二倍以上するのとで、食べるのをやめました。代わりに、同じくコレステロールが低いアルパカの肉を食べましたが、結構な量があって、やや食べ過ぎ。やばいなぁと思っていると...

見事に寝る頃には高山病の症状を呈していました。若干気持ち悪くて頭が痛い...。とりあえず消化薬を飲んで、明日に備えてお休みなさい....。