Hyvää Pääsiäista

イースターの兎たち

Happy Easter

2006年4月17日月曜日

先週木曜日13日から、今日17日にかけては、Pääsiäinen、イースターのお休みです。大学の職員にとって、年度替わり前の最後にお休みがとれる時期とあって、TOLのメーリングリストにも、Lomalla(休暇)というタイトルで、Hyvää Pääsiäistäと本文に書かれたメールがばんばん飛び交っていました。みんな思い思いにお休みをとって、思い思いの休日を過ごしています。

わたしはというと、週末に友人のお嬢さんのお誕生日会にお招きを受けた(タイトル写真はその時に撮ったイースターの飾り付けですが)以外は、至って普通の日。特にお休みだからと入って生活を変えることもなく、淡々とお仕事をしています。いかんせん講義は無事というか、順調に進んでいますので、講義の準備をきっちりしておく必要がありますから。

イースターには、子供たちは魔女の格好をして、ネコヤナギの枝を持って、近所の家をノックして、お菓子をもらって歩いています。但し、友達の話によると最近の子供たちはすれていて、お菓子をあげても帰ってくれず、現金をあげないといけないんだそうです。私の育った京都には地蔵盆という似たような子供のお祭りがありますが、こちらの方でも最近は現金をあげないと子供が納得しないという話ですから、洋の東西を問わず「地獄の沙汰も金次第」といったところでしょうか。我が家でも一応小銭を用意してみましたが、漢字で表札を書いておいたおかげで、子供の方が近寄ってきませんでした。外国人の家まで押しかけて金をせびる勇気はさすがになかったようです。

ただし、子供たちがこうやって家々を回るのは、イースターの一週間前。ルーテル教徒にとっては、イースターはクリスマスなんかより遙かに大事なお祭りですので、その日に子供たちが遊びに出歩くことはあまりないようです。 マンミ イースターの日は実家に集まって、親族一同でイースターの伝統的な食べ物を食べます。いろんなホームページで紹介されているようですが、その代表選手がこのMämmi(マンミ)。ライ麦とモルトにシロップを混ぜてオープンで焼いた物です。

みためは... どんな食べ物か想像がつかないって? じゃ、開けてみましょう。じゃじゃーん♪。黒いペースト状の物が出てきました。何ともいえない姿をしています。フィンランドで黒い食べ物と言えば、「探偵!ナイトスクープ」でも紹介された、「世界で一番まずい飴」salmiakki(サルミアッキ)が頭に浮かびますが、オウルと言うところは黒い食べ物が色々あって、これもその一つです。他にもスープに入れて食べる血のかたまりの真っ黒なプリンなんてのも、スーパーで普通に売られています。

う×× では、手にとってもう少し詳しく見てみましょう。この距離じゃ分からないという方は、ご自身で画像を右クリックして、ダウンロードするなり、別のタブで開くなりしてみてください。何となくライ麦の繊維が黒い物の中に見えて、みためはまさに不消化物のたくさん入ったう××。いやぁ、世の中こんな食べ物もあるんです。

アイスを混ぜて召し上がれ このお菓子、普通はこんな風にアイスクリームと混ぜたり、クリームをかけたりして食べます。黒い不消化物の中に白い物が混じると、更に雰囲気が増してきます。いやいや、エライ物食べている気分です。味の方はと言うと、ちょっと癖はありますが「黒蜜」の様な味。ライ麦の香りがものすごく強く出ていますが、甘くおいしく召し上がれます。但し、日本人の口には余り合わないような気がします。

日本でも外国人が来たらまず「納豆」を食べさせますが、フィンランドの「イニシエーション」というとsalmiakkiか、このmämmi。私も何度食べさせられたことか分かりません。

つれるかな? さて、お休みの過ごし方は人それぞれ。私の方は、いつものように散歩に出かけてみました。道はずいぶんきれいになりましたが、それでも暖かくなったり寒くなったりを繰り返しています。道ばたを見ていると、凍った川で穴釣りを楽しむ人たちの姿も見えました。過ぎゆく冬を惜しむようにじっと穴を見つめています。

でも、殆どの人にとって、お休みは「ビールを飲む日」です。フィンランドでは冬の間は、特定の店を除いて法律で店を開けることが禁じられていますから(というよりも、夏の間は法律の特別措置として店を開けることが許されているという方が正しいですが)、休み前にがばっとビールを買っておくしかありません。特定の開いている店に買いに行くのも一つの手ですが、昨日店を覗きに行ったら、私の身長よりうずたかく積まれたビールのケース(12本入り1ケースで、500ケースぐらいはあったんじゃないかと思いますが)が、残り1ケースという状況になっていました。

フィンランドではリサイクルに対する規制が厳しく、国内産のビールは全て同じ形の瓶に詰めて売られており、瓶は完全デポジット制になっています。最近は缶についても回収をはじめたようです。スーパーの入り口には下の写真のような「瓶返却機」が必ずついていて、ここで瓶を返却すると、デポジットがバーコード付きの金券になって出てきます。これをレジで渡すと、買った物から引き算するか、場合によっては現金で返金してくれるという仕掛けになっています。

空き瓶と空き缶は この機械を通すと 金券に早変わり

ということで、休み前の金曜日などは、手一杯に、あるいは車一杯に積んだ瓶を持ってスーパにやってくる人によく出会います。変な分別回収をするよりよほど効果的にリサイクルが出来ているように見えるのは気のせいでしょうか。

今日は、私の家の窓から見えるスーパーの開店日。お休みなのに開く数少ない店とあって、開店15分ぐらい前には、両手に瓶が一杯入ったスーパー袋を持ったお客さんがずらっと並びはじめました。 開店前の行列 妻がおもしろがって、用もないのにスーパーまで覗きに出かけてきましたが、瓶返却機の前では大量の瓶が返却され、両手一杯にビールを持った人の列がレジにできあがっていたんだそうです。流石フィンランド人は敬虔なルーテル教徒、イースター大事な宗教行事ですから、朝から晩まで浴びるほどビールを飲んで、家で静かに過ごしておいでのようです。