KELA BOX

KELA BOX

赤ちゃんセット

2006年4月8日土曜日

本日はお友達の家にお呼ばれ。なんか週末毎にお呼ばれしているような気がします。彼らには6月に子供が生まれます。今は出産準備でばたばたしています。フィンランドはたかだか500万人の国ですから、子供には手厚い。子供が生まれるとなるといろんな特典が付いてきます。 こうのとり そのさいたるものがこの「赤ちゃんセット」。KELA、日本で言うと国保ですな、からこの箱がもらえます。箱に近づいてよ〜く見るとコウノトリのマークが描かれています。中に何が入っているかというと、ちゃんとホームページに書かれています。このページから下の方のPhotoをクリックしてみてください。野暮なので載せませんが、まぁ、赤ん坊が生まれたときに必要な物一揃えがそろっています。もちろんフィンランドですから冬服も忘れていませんし、箱は生まれたばかりの赤ちゃんの寝床にも成るようになっています。紙おしめなども入っていてこれで大体一月は大丈夫という話です。と言うことで、みんなこの箱をもらってから赤ちゃん用品を買い始めるのだそうです。直箱の中身は毎年少しずつ変わりますから、着せている服の色を見れば(興味がある人がいれば)いつの生まれか分かるんだそうです。って、そんなに長くは着てないでしょうけど。使い終わった後はどうするかというと、どうとでもできます。もらい物ですから。中古屋に引き取ってもらってもいいし、第二子のスペアの服(第二子も当然箱はついてきますから)として使ってもいい。本当に至れり尽くせりです。これは国からのご褒美ですから、子供が沢山生まれれば、その分ご褒美も増えていきます。詳しくは先ほどのページの説明をよーく読んでみて下さい。びっくりすること請け合いですから。更に驚くことにKELA-BOXはフィンランドで「働いている=保険料を払っている」人であれば、国民じゃなくても等しく権利を手にすることが出来ます。彼女の友人の中には帰国後にKELA-BOXが郵便で追いかけてきたなんて話もあるんだそうです。

このページにはいろんなことが書かれています。子供が生まれると、一日最低15.2€だとか、母親と父親はどれだけ休みが取れるかだとか、英語できちっと書かれています。しかも使われている単語が“award”です。まさに子供は宝ってことですね。会社によるのかもしれませんが、一般的には子供が生まれたら父親は一月は職場に来ません。18週まで休みが取れるわけですから、夏休み6週間と併せてきっちり半年。で、結構みんなきっちりとっています。特に国立機関では。子供が生まれたことを理由にしたり、その世話によって仕事にしわ寄せが来たりしたことを理由に解雇するのは違法です。かてて加えて、保育園に子供を入れられるのは国民に等しく与えられた「権利」ですし、国民が教育を受けるのも「権利」ですので、試験さえ通れば大学もただです。教育費が0で、一定以上のサポートがあるわけですから、それは国民の数が増えて当然ですよね。ちょいと前に日本で「北欧では何故出生率が上がったか」という議論があり「金銭的支援があるからだ」と曲解されていましたが。何がほんとに必要な支援なのかをキチンと考えて形作れば、社会的コストは今より少なくても、自然と出生率は上がるはずです。決して「金銭的支援」が大切なわけではありません。大学に学生として通っていて、カップルで同棲生活をして、子供を持つ。それがいわば「当たり前」のこととして実行できる社会ができれば、日本の人口構造も自ずと変わっていくでしょう。私がいるところはまさにそんな社会です。

北欧の税金は一般的に高いと言われますし、確かに付加価値税(日本で言う消費税)は22%もあったり、最高税率は60%近かったりしますが、私たちが保険に払ったり貯蓄したりしている金額と比較すると、決して高い感じは受けません。寒い冬の間じっと働いて、一夏でぱっと全てを使い切る。そんな生活が安心して出来るというのは幸せだなぁと思います。豊かな生活の意味ってなにかなぁとかんがえてみませんか?