Udon

うどんらしきもの

うどん

2006年3月26日日曜日

今日からサマータイム。時間が一時間進みます。フィンランドでは、3月最終日曜日午前2時59分59秒のあとが4時になります。こうやっておくと影響を受けるのは、夜行電車と国際線の飛行機ぐらい。3月末週と9月末週は遠出はする物ではありません。昔丁度夏時間から冬時間に切り替わる日に、豪華フェリーに乗ってヘルシンキからストックホルムに行ったことがありますが、船は時間を合わせるためにストックホルムの沖で一時間停泊していました。当時はまだEUになっていませんでしたから、フィンランドとスウェーデンを結ぶ船は国際航路。アルコールに高い税金のかかる北欧では海外旅行=飲んだくれツアーですから、殆どの乗客は1時間よけいに飲む時間が出来て幸せそうでした。幸せすぎて、ストックホルムについても船から普通に下りられない人も相当いたぐらいです。こんな例外は別にして、ヨーロッパでは「夏時間そろそろやめない?」という議論がはじめられているようです。元々はエネルギーの最適化などの目的があったのですが、今や昼も夜も関係なく電気は使っていますから、それこそ効果があまりなく、切換時の混乱だけが恒例行事になってきていますので何ともいえないところです。日本では「帰宅後の社会生活時間が長くなる」と言いますが北欧にいると、どうせ夏は日が沈みませんから、何時に帰ろうとそう変わるわけでもありません。無駄なことはやめた方がいいよなぁ、と思いながら、時計を一つずつ合わせるのがこの朝の仕事です。

さて、土曜日の夕方からやっている懐かしの “Iron Chef” に刺激されたわけではありませんが、今日は妻がどうしても作れと言うので、今日はうどんに初挑戦することにしました。この番組、日本で放映した物にアメリカで吹き替えが行われて、更にフィンランド語の字幕がついて放映されています。鹿賀丈史の話すところと「福井さん」というレポーターの声だけが日本語のままで「さすがにこの雰囲気は訳せなかったんだなぁ」と考えさせられます。妙な感じですが。

さて、妻が心酔する「男の趣肴」によると、うどんは中力粉で打つべき物で、強力粉2:薄力粉1で混ぜるとあります。ところがフィンランドというところは、 ライ麦の粉 (Ruisjauhe)、大麦粉 (Ohrajauhe)、芋の粉(Pernajauhe)等、パンの粉の種類が非常に多く、しかも、パン用、ピザ用、パスタ用などすでにミックスされている物が多くありますから、何がどう混ざっているのかちゃんと読まないと分かりません。引いた粗さに併せてKarkea(粗め)とかErikois(細かめと思われる)とか書かれていますが、これとてどのくらいの粗さなんだか、開けてみるまでは何とも。しかもパンを作ったり、お菓子を焼いたりするのは日常生活ですから、何しろロットが大きいと来ています。目指す粉を探すにも、失敗する確率が高い上に失敗したときのオーバーヘッドが大きいと来ています。しかも、英語のflourから英芬辞典を引くとjauhoと書いてありますが、この単語には「粉」という程度の意味しかありませんので、へたをするとミンチ肉にまでこの単語が使ってあったりするぐらい、一般的な意味しか持ちません。このあたりは感覚的に似ている人たちの言語を、英語という感覚の遠い人の言語を介して結びつける難しさです。以前からフィンランド在住の日本人言語学者に「芬日芬辞典」を作って欲しいと頼んでいるんですが、なかなか辞書は簡単じゃないそうですから。と言うことで、正攻法はさっさとあきらめて、小麦粉(Vehnäjauho)という名で売られているお菓子用の粉、多分薄力粉だと思われる粉を使うことにしました。「男の趣肴」には薄力粉だけで打っても、しっかり練って、寝かせなければOKと書かれていますから。

まずは粉から 「男の趣肴」を教科書に、この異常に乾燥している気候を考慮して「多め」とされている水を使って、書かれているとおりに作っていきます。 ひとかたまりになるまでこねる 粉と水と塩を混ぜて、拳でつぶしながら固まりを作って、まずはひとかたまりの小麦団子を作ります。後は踏みの作業ですが、 踏みはベッドカバーにくるんで 教科書通りビニールと新聞で挟むと、新聞もビニールも日本の物のように素材がしっかりしていませんから、 体重もたまには役に立つ 破れて、インクがうどんに付いてしまいました。仕方がないので、急遽ベッドカバーをつかって、踏んでのばしてきます。30分踏んでのばしては丸め、のばしては丸めて、 大体形になった 大体形になったら、あとは延ばして畳んで切って、茹でたらできあがり。

のばす さらにのばす
おりたたんで 切ったらできあがり

いかんせん、すりこぎ (これも日本から持参) しかありませんから、どことなく分厚い、「うどんなような団子」になりましたが、しっかり腰もあり、茹でたては美味い。 かまたまうどん 半熟玉子とショウガと醤油。それに一味唐辛子代わりのカイエンヌペッパーと、大阪=ヘルシンキ便のそばについていた、そばつゆをちょっとたらして、すっかりおいしく頂きました。ごちそうさまでした。これも良い教科書のおかげ。感謝感謝です。