8月20日 所変われば…


秋の空 8月の声を聞くと同時に、一気に涼しくなってきました。ちょっと雨が降ったら15度ぐらいまで気温が下がってきます。8月の半ばをすぎて最低気温はとうとう10度を割り始めました。フィンランド人に言わせると6月から8月は夏なんだそうですが、私の感覚では夏は7月だけだったという感じです。実際8月13日からバスも冬ダイヤになりましたし。

秋になって抜けるような青空が広がっています。真っ青とはいっても、日本と比べると何となく淡い色あいです。どことなく弱々しい太陽の光のなせる技でしょうか。

そんな空を見上げていて気が付くのは、白い細かいものが沢山飛んでいること。すでに蚊のシーズンは過ぎていますので、北欧の巨大な蚊が作り上げた蚊柱ではないようです。

よーく目を凝らすとこれが全部タンポポの種。ものすごい数の種が飛び交っています。日本ならばさしずめ「風流だなぁ」といったところでしょうが、フィンランドでは、タンポポの種は夏の蚊と並ぶ秋の最大の嫌われ者。みんなあまりいい顔をしません。

というのも、日本のように湿気のある気候では、タンポポの種が一斉に飛び立つ日というのは空気の乾燥した非常に限られた日になりますが、フィンランドは元々乾燥しているお土地柄なので、ほぼ秋中タンポポは飛び交っています。しかもその量が半端じゃない。ひどいときには「太陽に霞がかかったのかな?」と思えるぐらいの数の種が空を舞っています。空気が非常に乾燥していますので、いつまでも落ちてこないからです。

タンポポの種は空気中の湿気で地面に近づいて、地面の湿気で地面に張り付き種を落としますが、なかなか地面に落ちてきません。で、空気中にあるしっけているところ、すなわち洗濯物に付着します。そろそろ冬支度にベッドカバーなどを干そうものなら、運が悪いとタンポポの種だらけになってしまいます。

しかもタンポポは生命力が強い蝉の幼虫すら育たない(実際オウルでは蝉の鳴き声を聞きません)ラップランドの極寒の冬にも耐えて、毎年少しずつ勢力を拡大していきます。どこかの家庭の菜園であろうと、植物園であろうとお構いなしです。

オウルの数少ない観光ポイントの一つ、オウル大学植物園に出かけていくと、きれいに植えられた沢山の植物の中に、ぽつぽつと、いや結構な割合で、タンポポが散らばっています。背の低い高山植物のコーナーなどでは、かなり目立ちます。これでは嫌われるはずです。

フィンランドで生活していると、学生がお醤油をサラダにかけて食べていたり、小学生と思しき子供が風船を訪問販売したり、落ちているビール瓶を集めて小遣い稼ぎの仕方を学ぶのが普通だったり、「日本じゃ考えられないなぁ」と思うことが沢山あります。だからこそいろいろ刺激があって楽しいのですが。

そんな「所変われば」なものを集めたコラムが、しばらく前にヘルシンギンサノマ(ヘルシンキ新聞)に乗っていました。「訳そうかな?」と思ったのですが、元の英語がよーく出来た表現で、訳してしまうと野暮ったくなりそうなので辞めました(何よりもめんどくさかったんですが(^^; )。

オリジナルサイトはここにありますので、ご覧ください。一応リンクが無くなったときのためにここにキャッシュを置いておきます。

私はこの文章、全て「そうそう、フィンランド人ってそうだよなぁ。」と納得しながらにやにや笑って読みました。ということは、私もフィンランドに長く住みすぎているということ??

そういえば、今日ヘルシンギンサノマを見ていたら、「5月12日依頼ずっと続いていたようやく、20%の賃上げを求めての医師組合ストライキがようやく8月17日に終わった」という記事がでていました。医師が手術までしないで三ヶ月のストライキなんて日本じゃ考えられないことですがこれも所変われば何でしょう。


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