6月18日 日本食パーティー


水浸しのオウル 朝大学に出てきたときには雨は降っていませんでしたが、お昼頃にたたきつけるような雨が降りました。

フィンランドの町は雪用には作られていますが、雨用にはなっていません。ちょっとした雨が降るだけですぐに歩道には大きな水たまりが出来ます。今日は町中は大浸水したそうで、友人がこんな写真を送ってきてくれました

なんでも、駅のガード下の(京都駅西側、堀川塩小路〜堀川八条間のように(関西ローカルですいません))少し低くなっているところでは、進入しようとした車が水没したそうで、一段高い歩道を車道に切り替えて使っていたそうです

それはさておき、今日は「日本食パーティー」を私の家で開くことにしました。これ、ずいぶん以前から約束していたのですが、面倒くさいのでずーっと延ばし延ばしにしてきたものです。だって、日本食をこちらの食材で作るのは大変なんですから。

なによりも、食材が新しくない。フィンランドは北の端の国ですから、どうしても食に関しては貧しくなります。スーパーで白菜を買ってきても、ともすると中が腐っていることがあります。こちらの人はそれでも文句を言わずに買ってきますが、日本食を作ろうと思うとどうしてもこれは気になるところです。これでも、7年前に比べれば、スペインなどのEU域内の国から新鮮な野菜が安く入ってくるようになりました。お百姓さんは大変なようですが、生活は確実に豊かになっています。その分、EU域外から入ってくる米などの値段は確実に上がりましたので、日本食を作るとなるとどうしても高くついてしまいます。

つぎに、これは仕方のないことですが、調味料が手に入らない。ヘルシンキまで行くと日本食材が手に入りますが、オウルではなかなか。最低限のものとして、豆腐、しょうゆ、みりん、わさび(一時期ブームだったらしい)はスーパーで手に入ります。後は中華料理店に行ってごま油を買うのがせいぜいといったところです。

さらにもう一つ仕方のないこととして、食材が違う。人参は細くて小さい種類(金時人参程度)で香りが非常に強く、キュウリは「うりちゃうんか?」と言いたくなるぐらい太くて水気が多い。ナスは顔ぐらいの大きさがあり、キャベツに至っては日本で見たことのない種類のものが並んでいます。こうなると日本と同じ料理法や火の通し方では食べられたものではありません。

ということで、暇を見つけてこれらと格闘しながら数ヶ月料理法を探していましたので、どうしても延ばし延ばしになったわけです。

さらに状況を悪くするのがこれ、電磁調理器。フィンランドの一般家庭の台所は全て電磁調理器で、ガスコンロなど全くありません

最初は、「冬は窓を閉め切るから、ガスにすると危ないってことだな」と一人で納得していたのですが、フィンランド人の友人によるとこの国はガスを体験することなく、薪から電気に移行したのだそうで、ガスで調理をするという発想が元々無いんだそうです。

古い建物や家具が保存されている博物館に行くと、薪のストーブの上に、電磁調理器と同じような鉄の鍋置き場が付いている台所器具がおいてあったりして、昔からこの形で料理をしていたんだと言うことが見て取れます。

台所電気ヒータ

確かにフィンランド料理というとカレリアンシチューのような煮込み料理か、カルヤランピーラッカ(カレリア風パイ)のようなオーブン料理が主役で、あまり「焼き物」にはお目にかかりません。

しかし、和食や中華料理のようなアジア料理を作ろうと思うとこれが最大の難関になります。火勢が足りない、鍋を煽れない。いくら「電気生活は汚れない」と宣伝されてもガスコンロに電磁調理器は勝てません。

計量スプーン もちろん電磁調理器にもよい面はあって、お米を炊くのが簡単です

フィンランドでのお米の炊き方は、水を左の計量スプーンで計って(1合は180cc)洗い、飯盒の要領で鍋に入れたお米の上に手をのせて、指がひたひたにつかるぐらいの水を入れ穴の開いてないふたをして、電気コンロに乗せます。

適当に吸水させたら(させなくてもいいですが)フルパワーでスイッチオン。電気は徐々に熱が加わるので、自動的に「初めちょろちょろ、中ぱっぱ」になります。

沸騰して鍋が噴いたらスイッチオフ。あとは電気コンロが自然に冷えていきますので、放っておけばいい具合に炊けてきます。重要なのは「赤子泣いてもふた取るな」です。気長に待ちましょう。

もう一つ困るのがまな板。フィンランドの台所では、まな板は写真のようにに引き出しの形で組み付けられています。魚・肉用と野菜用の二枚のまな板が組み付けられていますが、問題は高さ。低くて野菜や魚を切るのもままなりません。長く包丁を使っていると腰に来ます。こちらの人を見ていると、いすを持ってきて座って包丁を使ったりしていますが、どうもそれも慣れません。

ちなみにゴミ箱は流しの下に付いているのが一般的です。こちらの方はにおいがしなくて、ゴミもさっと捨てられるのでいい具合です。

まな板とゴミ箱

とにもかくにも、「やる」と言った以上作らないといけません。煮物は二日前から用意して、どうにかぎりぎりで間に合わせました。とにかく15人前となると大変です。

今日のメニューは、

と超豪華版です。材料はヘルシンキであればどうにか手に入ります。昆布、若芽、カレールー、海苔、味噌あたりはオウルでは手に入りません。

当然それだけでは面白くないので、日本から持ってきてもらった納豆と漬け物も当然食べてもらいます。納豆は相当強烈だったらしく、「くさいものはうまいという俺の持論が証明された」と誇らしげに言っていたイタリア人以外は全滅だったようです。私が何を言ったわけでもないのに、参加者全員が一致して「足のにおいの食べ物」だと思ったようです。納豆は体にいいんだという英語のサイトも紹介しておきましたが、果たしてどれだけの人が見たのだか。

まま、みんな満足してかえったようです。特にカレーと豚キムチ、そして巻きずしは気に入ったようで、何人かは早速巻き簾をオウル中心街のスーパーでゲットしたとのこと。すしセットもフィンランド国内では売られているようですのですしを作る人口が増えることでしょう。

そのうち、トナカイのハムを巻いたスオミロールでも出てくるかもしれません。


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