5月 1日 Vappu!


5月1日はMay Day。フィンランド語でVappu(バップ)と呼ばれます。この日は他の国と同じようにお休みです。他の国とちょっと違うのが、Vappuは学生のお祭だということ。いわば町全体で学園祭をやるようなものです。

Pre-Vappu Partyのチケットは1週間ぐらい前から売り出されます。人気のある物は即日完売。
過激につき、残念ながらお見せ出来ません オウルのVappuは4月25日の"ポルノパーティー"を皮切りに、連日連夜のどんちゃん騒ぎが繰り広げられます。

「学生のやることだから、たいしたこと無いだろう」と思っていたのですが、出かけてみると本物のストリップショーはあるわ、あれやらこれやらいろんなことが行われます。過激すぎてここに書けないのが残念ですが。

この日から連日町中のディスコ、パブでは各学科、あるいは学生主催のパーティーが連日繰り広げられます。大体時間は夜9時から朝4時までといったところ。私もいくつか参加してみましたが、とりあえずどのディスコもすし詰め状態。押し合いへし合いしながら、大音響で流れるテクノ、ハードロックなどにあわせて、一晩中ダンスが繰り広げられます。

もちろん、ナンパもあちらこちらで繰り広げられます。フィンランドではどうも女性が男性をナンパする場合が多いように見受けられます。フィンランド人の男性は、日本人よりもおとなしい場合が多いですから当然かもしれません。それに比べて女性は一般的に活発です。

ナンパの対象は主に外人。私が1994年にヘルシンキに来たときには日本人男性がいわばブームだったようです。当時パブで声をかけられた女の子に言われたのが「日本人男性はフィンランド人に比べて活発で、話好きで面白い。」(??) まぁ、当時こんなヨーロッパの片田舎にやってくる日本人はバイタリティーがあって当たり前だったんだろうと思います。ここはシベリア鉄道を使って最初に入ってこれるヨーロッパですから。

現在のブームはイタリア人。フィンランド人女性の好みは「黒又は褐色の髪と目・長身・おしゃべり」ですので、まさにぴったりといったところです。日本でもそうですが、女性はどうも自国の男性にあまり見られないタイプを求めるようです。新しい遺伝子を取り入れようとする自然の摂理なのでしょうか?? ちょっと「やんちゃ系」の女の子が髪を「染め黒」(日本だったら「染め金」や「脱色」になるところ)にしているのは、似たようなメンタリティーのなせる技かもしれません。
オウルの町はこの一週間、完全に機能を失います。大学にも学生があんまり出入りしていません。普段はおとなしいフィンランド人も酒が入ると人が変わります。研究室で話しかけても一度も声を出して話をしてくれなかったような奴が、酒場でいきなり後ろから抱きついてきて、"Oh, you are here!"といったきり、30分以上も大声でなんやかやと話をする、なんて調子です 道で暴れる奴、道ばたでひっくり返って寝てる奴、大声で唄うグループ、調子に乗りすぎてショーウインドーのガラスを割って警察のご厄介になっている奴、まさに無茶苦茶です。こんな様子を見ていると、この国の酒税が異常に高いのも当たり前なのかなという気さえしてきます。

それにしてもすごい数の学生が街を闊歩しています。夜のオウルの町にこれだけの人が出歩いているのを見ることはほとんどありません。

バップの夜のオウル
昼間は昼間でいろんな催しが開かれていたようです。私は仕事が忙しかったので殆ど見に行っていませんが、見てきた友人の話からいくつかピックアップすると…

学科対抗手漕ぎボートレース。船に酒を持って乗り込むので、普通にやれば8分ぐらいで済むところを20分ぐらいかけて漕いでいく。ゴールに着いたら裸になって川に飛び込む奴もいた。

とか、

二本の木(間が50mぐらい)の間を25往復走るレース。ただし、一往復ごとにビールを一本ずつ飲むのがルール。最後の方にはまっすぐ走っている奴は殆どおらず、木の所を通り過ぎてそのまままっすぐ走り去ってしまったのまでいた。

などなど…壊れているとしかいいようがありません。(^^;;

バップの日のオウルの町 5月1日、Vappu当日には町の歩行者天国に沢山の露天がでて、「オウルにこれだけ人が住んでいたのか。」と驚くぐらいの人がでてきます。殆どの人が写真のような白い帽子をかぶっています。白い帽子は高校・あるいはコミュニティカレッジを卒業した人、房がついているのは大学卒業(修士号取得)者の印です。
学生は学科ことに定められた色(電気工学科は青、情報処理科学科は黒など)のつなぎを来ていて、そこに沢山のワッペンを貼り付けて歩いています。"more wappen means more cool"なんだそうです。人によってはよった勢いで袖や足を他の学生と交換し、なんだかカラフルな衣装を着ている場合もあります。

なお学生がつなぎを着ているのは「地面に座って車座になって酒を飲んでも大丈夫。少々汚れても中に着ている物を汚さないので、洗濯の心配をせずに毎日思う存分酒を飲める」からなんだそうです。(^^;;

つなぎを着た学生
電線のようなお菓子 露店で沢山売られているのがこのお菓子。まるで電線にしか見えません。ちなみに黒い奴は本当に電線のような味がします。中には白色をしたこのお菓子を10本ぐらい螺旋状に束ねてあって、どこから見ても洗濯機のホースというような姿の物もあります。小さい子供が口からホースを出して歩いているのを見かけると、分かっていてもさすがにぎょっとします。
この日の午後にはVappu最後の公式イベントが繰り広げられます。町の公園のまだ凍っている池のそばに沢山の人が集まってきます。 最後のイベントを見守る人々
池に飛び込む新入生 それは新入生のイニシエーション。氷の張った池(もちろん表面は取り除いてある)に滑り台から一人ずつ飛び込むという儀式です。頭まできちんとつかることが要求されます。頭までつからないと観客はブーイングの嵐。

服装は思い思い。裸で飛び込む男性がいれば、修道女の出で立ちで飛び込む女性もいます。うけをとるために一工夫も二工夫もしています。

昔はオウルの港で行われた行事なのだそうですが、港だとそのまま張った氷の下に滑り込んでしまって死亡するケースがいくつかあったそうで、現在は足の立つ公園の池で行われています。

それにしても、張った氷を取り除き、滑ってくる学生が(酒を飲んでいるので心臓麻痺を起こして)溺れかければ助け上げるレスキューの人たちは、ご苦労なことです。


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